日本は安い国になった

石橋秀仁 (Hideto Ishibashi)
2 min readFeb 11, 2020

外国人観光客の気持ちがわかる。身近なところではローソンのウチカフェも、セブンイレブンのキリマンブレンドも、値段を考えたら信じられないくらい美味しい。北米や欧州の先進国と比べて半額以下。安いだけでなく質も高い。驚くべきこと。でも喜ばしくない現象。経済の衰退。

なぜこんなにも良質な商品が、かくも低い価格でしか売られていないのか。日本企業はマーケティングや高値で売ることが下手だと言われてきた。それも一因だが、マクロ経済条件の変化もある。単に現役世代が貧しくなった。生産年齢人口の減少と、一人当たりの労働所得の減少。

安易に「デフレ」という言葉を用いて空疎な議論をしてはならない。そう戒めたのが『デフレの正体 経済は「人口の波」で動く』という本。その指摘は重要だと思う。データに基づいて考えることの重要性。

ゼロ年代なら「マーケティングで高く売れ」で良かった。「吉野家で食べてフェラーリに乗る一点豪華主義」なんて言われてた時代だ。しかし現在はもう厳しい。買い手の財布に余裕がなくなった。吉野家で済ませてもフェラーリは買えなくなった。

この意味でユニクロは貧しい国(BOP)に向けたイノベーションを先進国に逆輸入するリバース・イノベーション。日本は単に貧しいのではなく、かつては世界で二番目に豊かな大衆社会を持ったこともある。この二面性、かつての豊かさと、いまの貧しさを持っていることは、日本の強みかもしれない。

日本という単一市場の時間差(豊かな時代と貧しい現代)を利用したリバース・イノベーション。そこに活路を見出すのはアリかも。

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石橋秀仁 (Hideto Ishibashi)

ソフトウェア開発者/情報アーキテクト(IA)/アート・ファン https://hideishi.com